著者
劉 春英
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.34, pp.273-301, 2007-03-31

中国における二十世紀初めから始まる現代文学と共に発足している外国文学の翻訳は、一九二〇年代から三〇年代と、八〇年代に、二回のピークを迎える。まさに中国の歴史と文化が大きく転換する激動の時期にあたるが、そのようなピークにも、芥川龍之介の紹介は大きく関わっている。一九二一年に、魯迅が芥川龍之介を日本近代の名高い作家として中国に紹介して以来、既に八十年以上が経過した。その間、芥川の作品は中国の読者の間で高い人気を維持している。そのような背景のもと、芥川の人と作品に関する研究論文や著書も数多く残されてきた。本論は、八十年以上の歴史をもつ、中国における芥川の紹介と研究に関する豊かな資料を紹介しようとするものである。そのような本論は、次のような意義をもつと考える。まず第一には、芥川龍之介研究に、中国での受容史という観点を提示することである。そして第二には、芥川龍之介の場合を一つの例として、西洋近代文化の摂取という点で共通する課題をもっていた、中国と日本の近現代文学の間の関わり方について、新たな視角や理解を用意することである。

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中国現代文学史における二回の翻訳ピークと芥川龍之介 http://t.co/BXLQzKJ8Ew これ途中まで見たけど、面白かった。

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