著者
井上 義郷
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.667-672, 1958-12-15

I.ゴキブリの害虫化について ゴキブリは俗にアブラムシとも呼ばれ,直翅目,ゴキブリ亜目に属し,わが国に分布を記録されているその種類は,琉球,小笠原諸島のものまで含めますと5科22種となります。そのうちの大部分の種類は野外に棲息しているもので,われわれの生活と直接的な関係をもちません。事実上衛生害虫として問題となる種類は,ビルの事務室や飲食店などで広く見かけられる黄褐色で小型のチヤバネゴキブリと一般家庭の台所に多い黒褐色の大型の種類です。これには2種類あつて関東以南に主な分布を示すクロゴキブリと,関西から北で秋田県附近まで知られているヤマトゴキブリです。なお,地域によつてはワモンゴキブリも注意さるべき種類となります。 これらのゴキブリは,いままで,衛生害虫として一般にはあまり問題とされていなかつたものですが,最近,非常に注目されるようになつてきました。特に,近代的な設備を具えた都市のビルや鉄筋アパートでは,ハエや蚊よりも,むしろ,このゴキブリが重要な害虫として登場してきております。その問題点を,まずはじめに,考察することが駆除対策を立てる上に重要だと考えられます。

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公衆衛生上問題になり始めたのは、1950年代後期か。 > 「公衆衛生」22巻12号 (1958年12月)「ゴキブリは,いままで,衛生害虫として一般にはあまり問題とされていなかつたものですが,最近,非常に注目されるようになつてきました」 https://t.co/AT4WssmDrq

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