著者
山口 晃史 島村 忠勝
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.173-178, 2001-02-15

はじめに 重症感染症ならびに慢性化した感染症に対し抗生剤の多剤連用を強いられる場面に遭遇することはしばしば経験するものである.多くの場合,耐性菌に対する医師の意識の向上により十分なモニタリングのもとに適切な抗生剤の選択,投与,中止が行われているが,一部では不適切な選択,無計画な投与期間によって薬剤耐性菌が出現し病棟内に蔓延している場合も少なくない.薬剤耐性菌の存在が治療を困難にしているのは,呼吸器感染症においても例外ではなく,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylp—coccus aureus:MRSA),ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)や薬剤抵抗性緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)による感染症は難治性となる場合が多い. 最近話題の植物由来生体機能物質であるフラボノイドの一種である茶カテキンが,これらの薬剤耐性菌をも殺菌することが明らかにされている.われわれは,このカテキンの殺菌活性を臨床応用し,MRSA呼吸器感染症に対し除菌を目的としてのカテキン吸入療法を提唱している1).本稿では,カテキンの抗菌活性とそのメカニズムならびに,難治性呼吸器感染症であるMRSA呼吸器感染症に対するカテキン吸入療法の実際とその可能性について述べてみたい.

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