著者
山口 晃史 久野 道 堀谷 まどか 渡邉 典芳 久保 隆彦 加藤 達夫 村島 温子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.449-453, 2010-07-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
17

米国疾病予防管理センター(Center for Disease Control;CDC)やアメリカ産婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologists;ACOG)は過去の世界的大流行における調査から,妊婦はインフルエンザ感染症に対しハイリスクグループとし,1999 年より妊娠初期を除く妊婦に対してのインフルエンザワクチン接種の推奨を開始,2004 年には妊娠初期を含む全期間での妊婦に対する接種へ対象を拡大している.本邦でも妊娠中のインフルエンザワクチン接種は少しずつ推奨されてきており,その安全性を評価した.2007 年~2009 年に季節性インフルエンザワクチン接種を行った182 症例に対し,妊娠初期,中期,後期の接種時期別に調査を行い,各時期での安全性を妊婦への副反応,胎児への影響を評価した結果,ワクチン接種時の妊娠週数にかかわらず,接種に関連する有意な母体の副反応,児の流・早産,奇形は認められず,ワクチン接種の安全性が確認された.
著者
島村 忠勝 胡 志青 大久保 幸枝 趙 維華 柳川 容子 山口 晃史
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

カテキンの抗微生物活性のメカニズムおよびカテキンの抗微生物薬との併用効果について研究を行った。1.エピガロカテキンガレート(EGCg)は細菌細胞膜や細胞壁傷害作用および細胞壁合成阻害作用を有し、β-ラクタム剤と併用すると、MRSAに対するβ-ラクタム剤の抗菌活性を復活させ、強い相乗効果が発現した。タンパク合成阻害剤、核酸合成阻害剤との併用では相乗効果は見られず、ペプチド系抗生物質では拮抗作用が見られた。この拮抗作用はEGCgとペプチドの結合によると考えられた。また、EGCgはβ-ラクタマーゼ活性を直接阻害することができ、β-ラクタマーゼ産生黄色ブドウ球菌およびMRSAに対して、EGCgとβ-ラクタム剤の併用は相乗効果を発揮した。β-ラクタマーゼが分泌されないグラム陰性桿菌に対して、効果は弱かった。2.ヘリコバクター・ピロリに対しては、EGCg単独で殺菌作用を示した。クラリスロマイシン高度耐性株に対してEGCgとクラリスロマイシンまたはプロトンポンプ阻害剤を併用すると相加効果が見られた。3.細胞内寄生菌サルモネラに関しては、EGCgはサルモネラ食食マウスマクロファージの細胞内殺菌能を亢進した。EGCg投与マウスのマクロファージはサルモネラ貧食能と細胞内殺菌能がともに増強した。4.HIVに関しては、HIVの細胞への吸着後から宿主細胞遺伝子への挿入までの過程においてEGCgの阻害作用が見られ、逆転写酵素やプロテアーゼの阻害が示唆された。また、EGCgは持続感染細胞からのHIV粒子の産生を抑制した。この抑制効果はリボソームに包埋したEGCgやLPSを併用すると増強した。しかし、このEGCgの効果は単球細胞系で特異的におこり、リンパ球では見られなかった。また、EGCgとAZTを併用すると弱いながら相乗効果が見られた。
著者
山口 晃史 島村 忠勝
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.173-178, 2001-02-15

はじめに 重症感染症ならびに慢性化した感染症に対し抗生剤の多剤連用を強いられる場面に遭遇することはしばしば経験するものである.多くの場合,耐性菌に対する医師の意識の向上により十分なモニタリングのもとに適切な抗生剤の選択,投与,中止が行われているが,一部では不適切な選択,無計画な投与期間によって薬剤耐性菌が出現し病棟内に蔓延している場合も少なくない.薬剤耐性菌の存在が治療を困難にしているのは,呼吸器感染症においても例外ではなく,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylp—coccus aureus:MRSA),ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)や薬剤抵抗性緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)による感染症は難治性となる場合が多い. 最近話題の植物由来生体機能物質であるフラボノイドの一種である茶カテキンが,これらの薬剤耐性菌をも殺菌することが明らかにされている.われわれは,このカテキンの殺菌活性を臨床応用し,MRSA呼吸器感染症に対し除菌を目的としてのカテキン吸入療法を提唱している1).本稿では,カテキンの抗菌活性とそのメカニズムならびに,難治性呼吸器感染症であるMRSA呼吸器感染症に対するカテキン吸入療法の実際とその可能性について述べてみたい.
著者
COOPER T・D 塚田 章 山口 晃史 成瀬 喜則
出版者
富山高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

外国語教育において,教員と学生の対話時間は教育効果に非常に重要な要素である.大人数のクラスに対する教育にIT技術が効果的である.本報告では,学生の面接テストを評価するためのVirtualInterviewingSystem(VIS)の開発と実践について述べる.本研究の目的は,学生の将来を決定する就職面接やスピーキングテストのために,学生の実践を支援し英語コミュニケーションスキルを高めることである.