著者
近藤 廉治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.419-423, 1964-06-15

I.おじろく,おばさ制度 耕地面積の少ない山村では農地の零細化を防ぐために奇妙な家族制度を作つた所があつた。長野県下伊那郡天竜村(飯田の近く)では16-17世紀ごろから長兄だけが結婚して社会生活を営なむが他の同胞は他家に養子になつたり嫁いだりしない限り結婚も許されず,世間との交際も禁じられ,一生涯戸主のために無報酬で働かされ,男は「おじろく」,女は「おばさ」と呼ばれた。家庭内の地位は戸主の妻子以下で,宗門別帳や戸籍簿には「厄介」と書き込まれていた。かかる人間は家族内でも部落内でも文字通りの疎外者で,交際もなく,村祭りにも出ることもなかつた。明治5年には人口2,000人の村に190人の疎外者がいた。昭和35年には男2,女1となつて今や絶滅に瀕しているが,このような社会からの疎外者はどんな人間になつているかを検する機会を得た。

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1964  若き日の風野春樹Drが掘り出してたらしい
"明治5年には人口2,000人の村に190人の疎外者がいた。昭和35年には男2,女1となつて今や絶滅に瀕しているが,このような社会からの疎外者はどんな人間になつているかを検する機会を得た" →戦後にはほとんど絶滅していた

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未文化社会のアウトサイダー (精神医学 6巻6号) | 医書.jp おじろく・おばさ、という風習、県民だけど初めて知った。 中々・・・・・・、というか今の価値観から評すとかなりの悪習だ。 https://t.co/AkTZbLtt6A
時々買ってる「精神医学」にも、民俗学に近いものがあつかわれた論文もあるんだねぇ まあ精神と民俗学は近いといえば近いのか、ひょんなことで繋がるものですねぇ https://t.co/PQddI1j2UY
もとのソースの論文は今は有料で閲覧できるのか…。 https://t.co/TJ9m3QXyPx
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