著者
河合 逸雄
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.45-53, 1983-01-15

抄録 異常脳波を呈した離人症4例について,その症状と脳波所見の縦断的検索を行った。初診時の脳波所見は2例において,棘波,鋭波が見出され,1例はδ波を含む徐波の混入,1例は徐波の群発が認められた。 離人症以外に4例中3例は間脳症的症状を,別の3例は機会性けいれんを併発する。 4例とも離人症は生活史的にある程度了解されるが,疾病論的には神経症,てんかんいずれも属し難いと思われる。離人症消退時4例とも脳波は正常化した。この際1例を除き,脳波正常化におよぼす薬物(特に抗けいれん剤)の影響は否定される。 ここにあげられた離人症例は特殊な型であろうけれども,離人症の病態機序として間脳の機能異常,脳機能の未熟性などを推論した。また,脳波が,個体の転換期において,変化すること,いかなる精神症状も生体の機能変遷として捉えられることを論じた。

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