著者
桝屋 二郎 井上 猛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.229-236, 2021-02-15

抄録 いじめへの対応として,被害者ケアを語られることは多いものの加害者ケアが取り上げられることは少ない。このことは「被害者中心のいじめ像」の理解のみが先行する結果を生んだ。しかし,いじめ行為を直接起こしたのは加害者側であり,加害者への適切なケアは欠かせない。加害者もさまざまな心理・社会的基盤を持っており,時として精神障害を抱えていることもあることが判明している。また,いじめの背景には加害者個人の特性・ストレス状況・基盤障害だけでなく,大集団内に存在する小グループの特性や相互関係性などが複雑に相響しあっている。したがって,いじめ加害についてのアセスメントは個人だけでなく,集団力動にも必要となる。いじめ事態においては加害者に被害者を含めた他者への共感力があるかが抑止の大きなポイントになる。共感力を育むような加害者への適切なケアが結果として,未来の被害者をなくすことに繋がることを我々は忘れてはならない。

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