- 著者
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中谷 雄介
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 臨床眼科 (ISSN:03705579)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.2, pp.239-244, 2018-02-15
要約 目的:スプレーガンは圧縮空気を噴射する携帯型の装置で,動力源にエアコンプレッサーを用い,トリガーの操作により空気を噴射して,塵やゴミ,水滴などの付着物を吹き飛ばすものである。今回,スプレーガンによる眼窩内気腫を経験したので報告する。
症例:60歳,男性。仕事中,作業着の上からスプレーガンで埃をとるために噴射していたところ,誤って右眼球の中央から耳側にかけて空気をあてた。その直後,右眼瞼,顔面が腫れたため当院を受診した。
所見と経過:右眼球結膜下の多量の気泡,耳側結膜の裂傷を認め,右上眼瞼,下眼瞼,側頭部,頰部にかけて気腫を認めた。眼瞼,頰部などを触れると捻髪音を認めた。CTで眼窩内側壁骨折を認めた。受傷翌日に結膜裂傷を縫合し,受傷3日目には合併症なく気腫はほぼ消失した。
結論:スプレーガンによる眼窩内気腫の報告では予後はおおむね良好と報告されており,本症例も同様であった。受傷直後は眼瞼が開きにくく,明確に空気迷入口である結膜裂傷を確認できた症例は少ない。圧縮空気使用者と医療従事者はスプレーガンによる眼合併症が起こりうることを認識する必要がある。