- 著者
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園生 雅弘
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.4, pp.513-525, 2003-08-10
CIDPの亜型について論ずるには,CIDPの概念,すなわち診断基準を明確にする必要があるが,このためにはAAN基準よりもDyckらの原著に立ち返るべきである。多巣性型の亜型としては多巣性運動ニューロパチー(MMN)と多巣性運動感覚性脱髄性ニューロパチー(MMSDN)がある。MMSDNはしばしば痛みやTinel徴候を伴い,抗ガングリオシド抗体は陰性である。ステロイドは後者のみで有効なので,両者を区別することは治療面からも重要である。抗MAG/SGPG活性を有するIgM MGUSを伴うCIDPは,遠位優位の分布を示す亜型(DADS)とも重なる概念となる。純粋感覚型のCIDPにはその存在の有無も含め未だ不明点が多い。慢性特発性軸索性多発ニューロパチー(CIAP)は,高齢発症で機能障害は軽く,軸索障害を示す独立した疾患概念と思われる。純粋運動型で軸索型のものは慢性運動性軸索性ニューロパチー(CMAN)などの名で呼ばれているが,これとALSとの鑑別は極めて困難である。