- 著者
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青木 正志
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.2, pp.204-211, 2000-04-10
遠位型筋ジストロフィー(三好型)は常染色体劣性遺伝形式をとる青年期発症の筋ジストロフィーであり,わが国の三好らの記載によりその臨床型が確立された。遺伝子座は2番染色体短腕2p13に存在するが,今回ポジショナルクローニングによりその原因遺伝子が同定され,dysferlinと名づけられた。Dysferlin遺伝子は6.9kbのcDNAからなり,2,080アミノ酸からなる蛋白質をコードする。Dysferlinは筋細胞膜に存在することも明らかになった。Dysferlinは遠位型筋ジストロフィー(三好型)のみならず,一部の肢帯型筋ジストロフィーならびにdiatal myopathy withanterior tibial onsetの原因遺伝子であることが判明し,dysferlin異常に伴う筋ジストロフィー群,いわゆる“dysferlinopathy”という疾患概念の提唱が必要となってきた。