- 著者
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亀山 正邦
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.968-978, 1975-10-10
はじめに 共同偏視は脳血管発作の重要な徴候の一つである。大脳半球の障害においては,病巣側へ向く共同偏視が,脳幹(橋)障害においては,病巣の反対側へ向かう共同偏視が出現することは,よく知られている。また,大脳半球障害においても,それが刺激的にはたらくときには,共同偏視が病巣と反対側に向くことも,Grassert-Landouzyの法則として古くから知られている。 しかし,これらの所見については,例外がないわけではない。脳血管病巣と共同偏視との関係については,沖中・豊倉らの報告1),Fisher2)の報告などがある。多数例について,脳病変の局在と共同偏視の型およびその出現頻度,特徴などをしらべた研究は,ほとんど報告されていない。