著者
小向 佳奈子 藤本 修平 近藤 国嗣 大高 洋平
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.819-824, 2016-09-10

要旨 【目的】リハビリテーション分野において,経験に基づく臨床思考はよく用いられる.しかし,臨床思考が経験によってどのように変化するかについての検討はない.本研究では,装具を選定する際の理学療法士の臨床思考を明らかにし,経験年数による相違について検討した.【対象と方法】質的調査と量的調査を混合して行うミクストメソッドを用いた.まず,構造化面接により,装具選定の際にどのような視点や評価指標を参考にしているかについて,理学療法士22名を対象に調査した.その結果より,主要な視点と用いる評価についての質問紙を作成した.次に,作成した質問紙を用いて量的調査を理学療法士40名に実施した.解析は,視点ごとに選択している評価の割合を集計し,経験年数による相違を検討した.また,視点と評価の関連を視覚的に検討するため,コレスポンデンス分析を実施した.【結果】質的調査から,視点として装具の必要性,角度設定など6項目が,評価として可動域,筋緊張など14項目が抽出された.量的調査の結果,装具の必要性における予後の評価や,角度設定における麻痺側の支持性の評価について,経験年数によって相違があった.コレスポンデンス分析の結果,経験年数4年目以上のほうが3年目以下よりも,評価と視点が集約する項目が明確であった.【結語】理学療法士は多様な視点や評価から装具を選定しており,それらは経験年数によって相違があることが示唆された.

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