- 著者
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鈴木亮
- 出版者
- 医薬ジャーナル社
- 巻号頁・発行日
- pp.81-85, 2019-01-01
インスリンは,インスリン様成長因子(IGF)と同様に,細胞増殖作用を持つ。2004年の後ろ向きコホート研究で,インスリン治療を受けている2型糖尿病患者の結腸直腸がんの発症リスクは有意に高く,また年数が長いほどリスクは上昇していた。2009年には,欧州糖尿病学会誌Diabetologiaに4本の論文が同時掲載され,インスリングラルギン長期使用時の発がん性の懸念が大きく注目された。現在もインスリン製剤とがんの関連性に結論は出ておらず,継続的に検討が行われている。2016年のグラルギンに関する系統的レビューでは,観察期間の短さや時間関連バイアスなど,方法論的な限界が指摘されると同時に,特に乳がんリスクについては不確実さが残るとしている。