著者
植木 岳雪
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.257, 2020 (Released:2020-03-30)

茨城県南部の土浦低地は,霞ヶ浦最奥部に位置し,霞ヶ浦に注ぐ桜川のデルタからなる.土浦低地の地下には,深度10 m付近に礫層が広く分布する.それは,最終氷期の土浦礫層(池田ほか,1977),最終氷期極相の沖積層基底礫層(BG)(水谷,1982;新藤・前野,1982),土浦礫層と完新世初頭の完新世基底礫層(HBG)(遠藤ほか,1983;鈴木ほか,1993)という3つの考えがある.本研究では,土浦低地の地形発達史と沖積層の層序を明らかにするため,土浦市蓮河原町と川口の2地点において,それぞれ深度30 mと12 mのオールコアボーリング掘削調査を行った. ボーリングコアの層相と14C年代に基づくと,土浦市蓮河原町のコアは,深度0〜1.25 mが人工堆積物および水田土壌,深度1.25〜2.25 mが完新世後期の河川堆積物,深度2.25-6.9 mは完新世中期の内湾堆積物,深度6.9〜10.5 mは完新世前期の河川堆積物からなる.また,深度10.5〜19.6 mは最終氷期極相前後の氾濫原(?)堆積物,深度19.6〜30.0 mは最終氷期極相以前の河川堆積物からなる.土浦市川口のコアは,深度0〜1.0 mが人工堆積物および水田土壌,深度1.0〜3.85 mが河川堆積物,深度3.85〜6.3 mが内湾堆積物,深度6.3〜9.65 mが泥炭および河川堆積物,深度9.65〜12.0 mが基盤の中部更新統からなる.なお,14C年代については現在測定中である. 2本のコアの層相の変化から,土浦低地の地形は,最終氷期の低海水準期の河道,完新世前期の海水準上昇期の溺れ谷,完新世中期以降の海水準低下期のデルタの順に発達したと考えられる.その場合,土浦低地の地下10 m付近の礫層は沖積層基底礫層(BG)となる.

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