著者
新城 知美 貝沼 やす子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 食物繊維や大豆たんぱく質、イソフラボンを含むおからをそのまま添加した食パンは比容積の低下などが生じ品質が低下したが、おからを焙煎してパン生地に添加するとパンの性状改善効果が認められた。本研究では焙煎処理によるおからの変化について検討し、パンの性状改善との関係を明らかにすることを目的とした。また、パン生地調整に最適な加水量および添加時期の検討を行い、更なるおから添加食パンの性状改善を目指した。【方法】 おからの乾燥は30℃で10時間、焙煎は180℃にて吸水率が最低値を示す時間焙煎し、重量、色、食物繊維量、吸水率を測定し、DSC分析、たんぱく質定量、Native-PAGE、SDS-PAGEを行った。食パンの作製はホームベーカリーを使用し、パン生地についてはファリノグラフ試験及び走査型電子顕微鏡観察を行った。パンについては、体積測定、破断強度測定、官能検査、断面の走査型電子顕微鏡観察を行った。 【結果】 おからを焙煎すると食物繊維量はやや減少し、たんぱく質の低分子化が認められ、吸水率が低下した。焙煎処理おからを添加すると、パン生地中にグルテン形成の改善が認められ、乾燥おから添加食パンに比べ膨化し、食味も改善された。コントロール生地と同じ硬粘度となる加水率(最適加水率)で焼成したパンでは、全ての測定項目においてコントロールの性状に近づく変化を示し、官能検査でも高い評価を受けた。この加水率はおからの吸水率を用いた簡単な関係式から算出することができ、市販の多くの生おからを利用した焙煎おから添加食パンに有効であった。おから添加時期を変えた製法では焙煎おから添加パンの物性がよりコントロールに近い結果となった。

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