著者
保坂 亨
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.157-169, 2002-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
74
被引用文献数
1 2

本論文では, 不登校をめぐる歴史・現状・課題を, 不登校に関わる用語の変遷を含めたその定義の問題とこれまでの不登校研究の問題点というふたつの面から展望した。1 研究上の用語としての「学校恐怖症」「登校拒否」「不登校」を歴史的経緯に沿って整理し, 長期欠席調査の中に位置づけられる文部省調査の「学校ぎらい」の定義との違いを指摘した。現在ではより包括的な「不登校」がよく使われているが, その背景として, 典型的な類型 (たとえば神経症的登校拒否や怠学) がはっきりしないという臨床像 (実際の子どもたち姿) の変化が考えられる。2 不登校研究の問題点として,(1) 基本統計と実態の乖離,(2) 追跡調査の欠如,(3) 学校環境に関する実証的研究の不足,(4) 学校の事例研究がないことの4点を取り上げて概観した。そのうえでとりわけ不登校と学校環境の関連を複合的にとらえていく学校の事例研究を行っていくことが今後の課題であることを指摘した。

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沖縄返還から6年後の1978年の時点で「都会では登校拒否児童が増え始めている」というのを知っている知念先生、若いのにものすごく勉強してるな。仲宗根くんの件でドヤ顔してた良子は知らないだろう。#ちむどんどん https://t.co/wl1Qb52Koi https://t.co/Ku4wb8V8jX
>《「教育界特有の防衛姿勢のため」(p.66)研究対象となりにくいという事情があったからともいえよう。》 (保坂亨『不登校をめぐる歴史・現状・課題』、PDF) https://t.co/jsVtQH68R4
>《しかも、後者の研究の方が圧倒的多数を占めているために、その間ともいうべき学校教育に関連した実証的研究が絶対的に不足している。》 (保坂亨『不登校をめぐる歴史・現状・課題』、PDF) https://t.co/jsVtQH68R4

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