著者
須藤 茂
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11-12, pp.389-404, 2011-12-31 (Released:2013-07-02)
参考文献数
40

トルコ中部アナトリアには,大型成層火山,単成火山群,及び大規模火砕流堆積物からなる台地などの火山地形がみられる.それらは過去1 千万年程度の間に噴出し,東西約200 km,南北約150 km の範囲内に複雑に分布している.比較的新しい大型成層火山として,ハッサン火山とエルジエス火山があり,単成火山群は,溶岩円頂丘,溶岩流,火砕丘,マールからなる.トルコの地質調査所に相当する機関,鉱物資源調査局(MTA)との地熱資源に関わる共同的な研究の一環として,それらの火山岩のうち比較的新しい噴出物について古地磁気測定を行った.その結果,地形的にも新しいと判断されるハッサン火山の岩石はブリュンヌ正磁極期に,より古い年代が得られているギョルダーの試料は松山逆磁極期に対応するなど,既存の放射年代測定値及び古地磁気年代尺度と整合的な結果が得られた.また,ハッサン火山の山腹に分布する未固結な火砕堆積物については,各岩塊の磁化方位がそろっていることから,現地調査において,堆積時にも高温であったと推定されることなどを確認した.

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