著者
福長 秀彦
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.2-27, 2021 (Released:2021-08-20)

新型コロナワクチンの高齢者への接種開始(2021年4月)を前に、接種をめぐる社会心理をインターネット調査によって探り、ワクチン報道のあり方を考察した。調査と考察の結果は次の通り。 ■接種の意向と属性:“接種派”が73%を占めた。20代、30代で“接種派”の割合が低下。“未定派”は女性が圧倒的に多かった。インフルエンザの予防接種の習慣がある人は接種の意向が強い。 ■ワクチンの安全性と有効性の信頼度:「ある程度は信頼する」が多く、全幅の信頼は得られていない。「あまり信用していない」人でも45%が“接種派”であった。感染の不安から仕方なく接種しようという心理が読み取れる。 ■接種・非接種・未定の理由:“接種派”では「集団免疫の効果」が3番目に多かった。“非接種派”・“未定派”では「安全性への不安」「有効性への疑問」が多かった。 ■“安全性に不安”の理由:“非接種派”“未定派”とも「未知の強い副反応に対する不安が」最多。ワクチンがこれまでにないタイプのもので、短期間で開発されたことによると見られる。 ■安全性をめぐる報道:十分な信頼を得られていない。“非接種派”“未定派”では、テレビ・ラジオを視聴して安全性に不安を覚えた人が多かった。接種後のアナフィラキシーや死亡事例の報道が「不安を煽っている」として批判されている。そうした報道に際しては、公的機関の見解(発症の確率・接種との因果関係など)・対応を先ずは的確に伝え、接種に対する無用な不安が拡がらないようにしなければならない。

言及状況

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@gear_jiro メディアの影響についても書いてある 論文はありましたね。 なかなか深刻であるけど当事者は 無責任です…… J-STAGE Articles - 新型コロナワクチン接種をめぐる社会心理と報道 https://t.co/hf6UUq1oiE
J-STAGE Articles - 新型コロナワクチン接種をめぐる社会心理と報道 https://t.co/hf6UUq1oiE これもまた興味深い。 ワクチン接種を巡ってメディアの影響など。 思っている以上にテレビ媒体多かった。
NHKは必要なの❓ 福長 秀彦 NHK放送文化研究所 流言の拡散を防ぐためには,接種との関係が不確かな死亡事例について公的機関の見解と対応をニュースとしてしっかり伝えることだ。このことは,人びとの的確な意思決定に資するというワクチン報道の役割に合致すると考える。 https://t.co/1yg77z0yXs
コロナワクチン接種するか迷ってる…漠然とした不安があるって方、ぜひこの論文読んでほしい! 接種する・しないは個人の考え方に委ねられるべきだけど、その考え方って正しい報道・情報を元にしてるか?一歩立ち止まって自分でしっかり考えて判断するべきだと思います。 https://t.co/eSPpWE40H2

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