著者
Alberto Millán Martín
出版者
Confederación Académica Nipona, Española y Latinoamericana
雑誌
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌 (ISSN:13449109)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.13-35, 2019 (Released:2020-11-14)
参考文献数
27

本稿では、1882年の夏より1年強日本に駐在したスペイン外交官フランシスコ・デ・レイノソ著の長編旅行記En la Corte del Mikado. Bocetos japoneses (Madrid, 1904)における外行語(日本語からの借用語)の言語学的特徴を分析した。まず、他の西欧語に定着した日本語単語のスペルをなるべく踏襲しながら、スペイン語の正書法に従って日本語の音声転写を試みた著者独特の表記方法の大きな特徴を見出し、明らかにした。次に、西文における和語の用法に見られる主な形態統語的性質の概要をまとめた。具体的には、ハイフンの使い方に反映されたと思われる語彙の形態素構造の理解、および名詞の性と数の扱いに焦点を当てた。最終的には、レイノソにおける日本語借用語の取り扱い方は、不規則や例外を一部含みながら、単なるローマ字表記の方法とスペイン語への語彙化の同化プロセスの両方の中間領域に位置することが確認できた。

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スペインでramenの複数形rámenesが推奨され、日本文化好きの間で反対派が多く物議を醸している。外交官による1904年の日本旅行記では、単複同形の扱いが主流でも、既にpfutones(固有語:子音+es)やshoguns(借用語:子音+s)両方の方法が見られるのが興味深い。拙稿参照。 https://t.co/U8s7ORSO2s https://t.co/dxpjC6ZKUx

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