- 著者
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鈴木 由希子
稲富 雄一郎
米原 敏郎
平野 照之
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.1, pp.8-12, 2015 (Released:2015-01-19)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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2
5
症例は77歳の女性である.パソコンのキーボード入力操作においてタッチタイピング(ブラインドタッチ)を獲得していたが,左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した.右前頭葉には陳旧性脳梗塞をみとめた.軽度の右麻痺,喚語困難,仮名・漢字・アルファベット1文字の読み書き障害は急速に改善したが,キーボード入力が困難になった.失行や視知覚障害はなく,ローマ字の読み書き障害をみとめた.アルファベットをみて確認しながらであればキーボード入力ができるまで改善したが,タッチタイピングは再獲得できなかった.本例のキーボード入力操作に選択的な行為障害には,ローマ字の読み書き障害がもっとも影響していると考えた.