著者
林 正人
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_44-1_56, 2009-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
44

近年の電子情報通信に関するデバイス技術の進化にしたがって,物理層の奥深くまで踏み込んだ情報処理が可能になりつつある.このような事情から,究極の情報処理理論として量子情報理論が定式化され,様々なバックグラウンドを持った研究者の努力により急激に進展した.しかしながら,量子情報理論では,これまでブラックボックスとして扱っていた部分に踏み込んで情報処理理論を展開するので,基本的概念の理解のレベルでさえ様々な参入障壁がある.本稿では,これらの障壁を取り除くため,初学者が誤解しやすい点や概念に重点を絞って解説する.例えば,波動関数と密度行列の違い,物理量とPOVM,状態複製と状態準備の違いなどについて丁寧に触れる.同時に,量子情報理論の最近の研究動向を解説する.具体的には状態識別,量子通信路符号化,量子鍵配送などの最新に成果にも触れる.

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