著者
加藤 百合
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1020, 2017 (Released:2017-10-01)
参考文献数
4

朝にインフルエンザワクチンを接種すると,午後に接種する場合と比較して抗体力価が上がることから,概日リズムにより免疫システムが制御されていることが示唆されている.このメカニズムの解明は,様々な病原体に対する効率的なワクチン療法の確立に重要である.ワクチン接種による免疫獲得には,リンパ球が重要な役割を担う.リンパ球は抗原を探索するために,血液からリンパ節へ移行し(ホーミング),その後,遠心性のリンパ管を流れるリンパ液へと放出され(遊出),全身を循環する.これまでに免疫応答が,活動期と休息期で日内変動することは報告されていたが,リンパ球の概日リズムへの関与は長らく議論があった.本稿では,リンパ球が概日リズムで制御されることによって,リンパ節へのリンパ球の移行,リンパ節からのリンパ球の放出,さらには免疫応答が調節されていることを明らかにした,Druzdらの研究成果を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Long J. E. et al., Vaccine, 34, 2679-2685(2016).2) Scheiermann C. et al., Nat. Rev. Immunol., 13, 190-198(2013).3) Hemmers S. et al., Cell Rep., 11, 1339-1349(2015).4) Druzd D. et al., Immunity, 46, 120-132(2017).

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