著者
東田 道久
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1113-1115, 2015 (Released:2018-08-26)

北陸新幹線が開通し,関東から北陸へのアクセスが大変便利になった.東京から富山までは約2時間,名古屋と変わらない時間での往来が可能である.江戸の昔,越中富山藩は,加賀藩の負債も背負って独立,当初は経済的に恵まれない状況におかれていた.その状況を打開するために考え出された産業が「くすり」であった.くすりは命にかかわるため付加価値も極めて高く,また軽くて運びやすいため,遠方でも物流が容易である.江戸城内での販売促進キャンペーンを経て,売薬ネットワークも確立させ,越中・富山の産業として発展,今日まで続く「くすりの富山」ブランドの看板と独占的販売権 (懸場帳:かけばちょう) を築き上げてきた.本グラビアでは,今も富山の産業に深く根ざしている「くすり産業」の原点とも言えそうな昔ながらの趣を残す各地や博物館を訪ね,その歴史と,先人たちの熱意と情熱に思いを馳せる.(各施設等の説明文の後に,詳細情報をウェブより入手する際の検索ワードを記載した)
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1024-1028, 2019 (Released:2019-11-01)
参考文献数
21

ワクチン有害説とは,「ワクチン接種はヒトにとって有害である」という基本的な考えのもと,社会および個人に対してワクチン接種の危険性を訴える主張の総称である.本稿の目的はワクチン有害説の科学性を評価することにある.科学哲学・科学社会学の知見から案出した「科学性評定の10条件」に基づくと,ワクチン有害説は理論の適応範囲に大きな問題を抱えており,データの面からもこれを支持できる有力な根拠はなく,典型的な疑似科学的言説である.科学性評定の10条件の理解把握によってこうした評価が可能である.
著者
青島 周一 桑原 秀徳 山本 雅洋
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.948-950, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
5

前景疑問に対する問題解決に、Evidence-based Medicine(EBM)の実践は必要不可欠である。しかしながら我が国では、EBMに対する薬剤師の認知度は高いとは言えない。「薬剤師のジャーナルクラブ」は論文抄読会をインターネット上で開催することで、EBM学習の場を提供する取り組みである。取り組み当初より、視聴者数は徐々に増え、現在ではコメント投稿機能を用いた活発な議論が展開されている。論文から深い考察や新鮮な驚きを得たことを示唆するコメントも多く、当取り組みは、EBM学習の場を提供するという点において、一定の役割を果たせるものと思われる。
著者
綿引 智成
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.850-854, 2016 (Released:2016-09-02)
参考文献数
15

大麻草を乾燥または樹脂化した大麻には,カンナビノイド(CB)と呼ばれる60種類以上の活性成分が含まれ,古来より鎮痛や食欲増進等の目的で使用されてきた.しかし,陶酔感,短期の記憶・認識障害,または起立性低血圧を引き起こし,さらには依存性リスクも有することから,一部の国や州を除き大麻の医療目的使用は禁止されている.一方,1960年代に,大麻の主活性成分がΔ9-テトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol:THC)であることが報告され,1990年代にはTHCの生体内標的分子としてカンナビノイド受容体タイプ1およびタイプ2(cannabinoid receptor type I and type II:CB1 and CB2)が同定された.さらに,CB受容体に対する生体内アゴニストとしてアナンダミド(anandamide:AEA)および2-アラキドノイルグリセロール(2-arachidonoylglycerol:2-AG)が発見され,それらに対する主要分解酵素がそれぞれ脂肪酸アミド加水分解酵素(fatty acid amide hydrolase:FAAH)およびモノアシルグリセロールリパーゼ(monoacylglycerol lipase:MAGL)であることも明らかとなっている(図1).本稿では,これらカンナビノイド系分子を標的とした医薬品開発状況を,各種データベースおよび文献情報からまとめたので概説する(表1).
著者
柴田 承二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.156-161, 1998
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
大村 智
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.979-983, 2006-10-01
参考文献数
11
著者
小林 直也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1159, 2022 (Released:2022-12-01)
参考文献数
5

望みの標的タンパク質と特異的に結合するタンパク質を設計し,タンパク質相互作用を自由自在に制御することができれば,新しい医薬品の開発への応用が期待できる.これまで結合タンパク質を設計するには,標的タンパク質が他のタンパク質と結合した複合体構造が必要であり,標的タンパク質の立体構造情報のみを用いて結合タンパク質を設計する一般的な方法はなかった.本稿では,標的タンパク質の立体構造情報のみを用いて,任意の標的タンパク質の特定の部位に結合するタンパク質を設計する手法を開発したCaoらによる研究を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Cao L. et al., Nature, 605, 551–560(2022).2) Dou J. et al., Nature, 561, 485–491(2018).3) Rocklin G. J. et al., Science, 357, 168–175(2017).4) Chevalier A. et al., Nature, 550, 74–79(2017).5) Jumper J. et al., Nature, 596, 583–589(2021).

20 0 0 0 OA 睡眠改善食品

著者
安居 昌子 坂内 慎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.530-533, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
22

昨年消費者庁が機能性表示制度の導入を開始し,睡眠に関する機能性表示の届け出が受理された商品を市場で見かけるようになった.グリシンは機能性表示が受理された成分の一つであり,摂取すると脳の視交叉上核にあるNMDA受容体に作用し,末梢血流の増加,深部体温の低下を介して睡眠の質が向上することが報告されている.本稿ではグリシンを中心に最近の睡眠改善食品成分のメカニズム,効果に関する最近の研究開発の紹介を試みることとする.
著者
野口 敦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.58-59, 2016 (Released:2018-08-26)

私は2006年に薬学部を卒業後,大学院修士課程を経て,2008年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に入構した.本誌の読者はご存じかもしれないが,PMDAは,厚生労働省所管の独立行政法人であり,①医薬品の副作用または生物由来製品を介した感染等による健康被害に対する迅速な救済,②治験前から承認まで一貫した体制での医薬品や医療機器の品質・有効性・安全性に関する指導・審査,③製造販売後の安全性情報の収集・分析・提供,を通じて国民の保健向上に貢献することを目的とした組織である.PMDAの業務内容は多岐にわたるが,これらのうち,私が実際に携わった業務についてご紹介したい.

17 0 0 0 OA アサと麻と大麻

著者
船山 信次
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.827-831, 2016 (Released:2016-09-02)
参考文献数
8

アサは古くから人類によって利用され、その繊維は一般に麻と書く。一方、単に麻というと種々の繊維が採れる異なる植物の総称であることから、アサを大麻と称することがある。大麻というと、「大麻取締法」で規制されているドラッグのイメージがあるが、大麻という言葉には本来悪い意味はない。ここではアサの来歴から、アサが大麻取締法にて規制されようになったいきさつ、そして、大麻吸引から派生した危険ドラッグの誕生とその正体について述べる。
著者
吾郷 由希夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.686-690, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
24

うつ病の生物学的な原因は未解明であり,臨床研究と同時に,その病態解明や創薬には実験動物を用いた研究が必要不可欠である.うつ病の動物モデルとしての意味には二通りあり,一つは,薬物の抗うつ効果の判定などに用いられる行動モデルとしての動物モデルであり,もう一つは,特定の病因仮説に基づいた疾患モデルとしての動物モデルである.本稿では,うつ病の中心的症状である無快感症(アンヘドニア)を齧歯動物で評価する行動試験について,最新の研究を紹介する.また,臨床開発が進んでいるケタミンを例に,抗うつ薬の新しい標的分子について概説する.
著者
菅谷 佑樹 狩野 方伸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.840-844, 2016 (Released:2016-09-02)
参考文献数
18

内因性カンナビノイドはシナプス後部の神経細胞で作られ、シナプス前終末に“逆向きに“働く。シナプス前終末ではCB1受容体を介して、グルタミン酸やGABA等の神経伝達物質の放出を抑える。2001年にこの“逆行性伝達物質”としての働きが発見されてから、その産生や分解の経路やシナプス伝達調節のメカニズムに関する数多くの研究が行われてきた。本稿ではこれまでに明らかになっている内因性カンナビノイドによる逆行性シナプス伝達抑圧のメカニズムを解説する。