著者
川喜多 卓也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.276-279, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

漢方薬は様々なタイプに分類されるが,補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)のような補益剤(ほえきざい)は,西洋薬には同種のものが存在しない,その一つの分類である.補益剤は貧血,食欲不振,疲労倦怠,慢性疾患による体力低下などを伴う患者に使用されている.補益剤は免疫薬理作用を有していて,種々の病態改善作用の主要なメカニズムと考えられている.制がん剤投与や放射線照射したマウスにおいて,補中益気湯や人参養栄湯は,造血幹細胞の増殖を促進して,白血球減少症を回復させる.人参養栄湯は血小板や赤血球系前駆細胞の回復も促進する.一方,補中益気湯は腸管上皮間リンパ球からのインターフェロンγ産生によりマクロファージを活性化して細菌感染からマウスを守る.また,ヘルパーT細胞タイプ2を誘導する免疫をしたマウスの抗原特異的イムノグロブリンEやインターロイキン4産生を抑制する.この効果がアトピー性皮膚炎治療の有効性の根拠になっている.人参養栄湯は自己免疫異常の調節効果で自己免疫マウスを著しく生存延長する.その他,補中益気湯ではストレス負荷や幼若マウスでの感染抵抗性低下の改善作用,人参養栄湯の肝線維化や間質性肺炎の改善作用なども示されている.以上の様に補益剤は免疫のアンバランスにより感染,アレルギー,自己免疫などになり易い状態を修正する効果がある.

言及状況

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しかも上記リーフ間違い有。補中~は腗胃論でなく1247年弁惑論です。著者は一緒ですがまだ千年経っていない新しい薬
新コロにかかってTh1(細胞生免疫)/Th2(液性免疫)のバランスが崩れると、Th2がバグった抗体を作って重症化を引き起こしそう。Th2を抑えるにはTh1を優位にする必要がある。補中益気湯という漢方薬はTh1を優位にするらしい。 https://t.co/fhDiLcrwSh
観測中・・・「補中益気湯のヘルパーT(Th)細胞のバランスの調節作用」「人参養栄湯の造血促進作用と自己免疫抑制作用」「血液細胞を補充」「低下した免疫能を高め」「過剰な免疫反応を制御する性格がより強い」:『漢方薬の免疫薬理作用―慢性疾患の改善作用の主要機序として―』https://t.co/KKFgsIMjYW
NOつながり 漢方薬の免疫薬理作用 ―慢性疾患の改善作用の主要機序として― https://t.co/2KT3kLYDQy 補中益気湯や人参養栄湯 サイトメガロウイルス(MCMV)感染マウスに,感染4 週後に抗CD3 抗体を投与すると肺の間質障害が引き起こされる. 略 組織障害因子であるnitric oxide(NO)が放出されて
漢方薬の免疫薬理作用 ―慢性疾患の改善作用の主要機序としてhttps://t.co/2KT3kLYDQy 補中益気湯や人参養栄湯などの補益剤は西洋薬にない 補益剤は免疫薬理作用があり、抗がん剤治療や放射線治療マウスの造血幹細胞の増殖促進、白血球減少症を改善 人参養栄湯は血小板、赤血球前駆細胞の回復促進
コメントありがとうございます。 補中益気湯は免疫のバランスを整えると考えれば良いと思いますので、炎症があればそれを抑えるのでCRPは下げると思いますよ。 温かく感じるのは血流が増えるからでしょうね。参考になれば幸いです。 https://t.co/dCDquvEsFN https://t.co/qnIR1yiGnT
ちゃんとあるじゃないの!!コレを要約して載せなさいよ! ていうかマジで、漢方に懐疑的な人多いんだし漢方薬メーカーはユーザを不安にさせる商品ページは避けるべきなのでは……。 https://t.co/KEKTYcDDYv

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