著者
藤倉 直樹 横山 達朗 増田 幸則 鹿田 謙一 田中 作彌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.267-274, 1996 (Released:2007-02-06)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

麻酔開胸イヌにおけるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬,塩酸エホニジピン(NZ-105)の心筋組織内酸素分圧に対する作用を検討し,その作用をニフェジピンおよびニソルジピンと比較した.心筋組織内酸素分圧は酸素電極を心筋に刺入することにより測定した.塩酸エホニジピン(10および30μg/kg)の静脈内投与はニフェジピン(1および3μg/kg)およびニソルジピン(1および3μg/kg)の静脈内投与と同程度に平均血圧を低下させた.塩酸エホニジピンは冠血流量を用量依存的に増加させ,ダブルプロダクトを用量依存的に減少させた.これと同様な効果がニフェジピンおよびニソルジピンにも認められたが,ニフェジピンのこれらに対する効果は一過性であった.塩酸エホニジピンによる冠血流量の増加作用はニフェジピンおよびニソルジピンよりも持続的であった.塩酸エホニジピンは用量依存的に心筋組織内酸素分圧を増加し,その作用は心筋外層側に比較し心筋内層側でより顕著であった.一方,ニフェジピンは心筋組織内酸素分圧に対しては有意な増加作用を示さず,ニソルジピンは心筋内層側の酸素分圧を有意に増加させた.塩酸エホニジピンによる心筋組織内酸素分圧の増加作用はニソルジピンよりも強く持続的であった.以上の成績から,塩酸エホニジピンは麻酔開胸イヌにおいて心筋外層側よりも内層側の酸素分圧を増加させ,この増加作用には持続的な酸素供給の増加および酸素需要の減少が関与していることが示唆された.

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