著者
鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.114, no.6, pp.365-371, 1999 (Released:2007-01-30)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

現在,覚せい剤を中心とする薬物乱用が大きな社会問題となってきている.それゆえに薬理学領域では医療上あまり有用性のない依存性薬物を世の中に出さないようにすること,一方医療上必要な薬物はその適正使用に努めること,依存形成機構の解明,依存症の治療薬の開発などが使命となってきていると考えられる.これらを行うには依存動物モデルを確実に,かつ安定して獲得する方法論を確立することが重要である.一般的に,薬物依存の形成においては精神依存がその基礎となる.そこで,本論文においては精神依存を予測する方法として最近広く使用されるようになってきている条件づけ場所嗜好性試験(CPP法)の考え方,方法論,注意点,応用,問題点などについて総括した.CPP法では薬物の報酬効果を非常に簡便に,かつ短期闘で評価できることから,近年数多くの薬物の報酬効果が検討されている.また,本法はこれまで最も信頼性の高い精神依存の評価法として用いられている薬物自己投与法での結果と良く対応することも明らかにされており,精神依存の評価,依存形成機構の解明や依存症の治療薬の開発などに広く応用されるようになってきている.一方,CPP法は薬物の報酬効果のみならず,薬物による嫌悪効果の評価にも応用することができる.嫌悪効果は薬物の有害作用につながる可能性があり,これらの点からも本法は医薬品の精神毒性などの研究にも応用できるものと考えられる.さらに本法は,感度の高い身体依存の評価法としても応用できる.このようにCPP法は非常に有用な方法であるため,実験を行うに当っての注意点や問題点を良く理解した上で有効に用いて行くことが望まれる.

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CPP= 条件づけ場所嗜好性 ヒトや動物に依存性薬物を投与した時,薬物が引き起こす感覚効果(中枢神経作用)と環境刺激(視覚刺激,触覚刺激,嗅覚刺激など)を結び付 ける方法として開発され,薬 物による報酬効果を検討する方法。 https://t.co/UMo2U1PT9n
https://t.co/rQ8fTSXNUT

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