著者
木野 孔司
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.9-13, 2021-04-20 (Released:2021-10-20)
参考文献数
2

関節円板後部組織の組織構造の認識に関して,多くの論文では,1950年代に示された「二層部」の存在がそのまま信じられていると考えられる内容が現在でも見受けられる。この「二層部」の存在に疑問をもったわれわれは,独自に組織切片を作成し関節円板および関節円板後部組織の組織構成を観察し,「二層部」が存在しないことを明らかにした。すなわち,関節円板を構成する密な膠原線維はすべてが下顎頭の内外側極から後面への隅角部に連結し,「二層部の上層」として提案された下顎窩後壁に連結する線維束はないこと,関節円板後部組織は細い線維で構成された疎な構造であり,その内部に多くの静脈叢を包含していることなどである。この構造を認識することで,下顎頭の前後移動量や関節円板前方転位発現の多さ,MRI撮像による関節円板位置判定が可能になっている。

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