- 著者
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松原 聰
加藤 昭
- 出版者
- Japan Association of Mineralogical Sciences
- 雑誌
- 岩鉱 (ISSN:09149783)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.11, pp.517-524, 1993-11-05 (Released:2008-03-18)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
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愛知県新城市中宇利鉱山の旧坑からgaspeite, glaukosphaerite, mcguinessiteおよびjamboriteを発見した。 Jamboriteは鉱山付近の瓶割峠の採石場からも発見された。GaspeiteはCo/(Ni+Co)=0.28-0.31, glaukosphaeriteはNi/(Ni十Cu)=0.42~0.49, CoO 5% (重量)程度まで含む。これらの種では含Co変種は最初の発見である。Mcguinessite中ではMg/(Cu+Mg)=0.61~0.65で原記載より高い値を示す。瓶割峠産のJamboriteはFe/(Fe+Ni)=0.29~0.32で,化学組成変化をFeに富む側に拡げている。これらはすべて蛇紋岩を切る割目に着生する皮膜をなし,成因的に循環地表水と関係がある。これらの中の金属元素はその起源を皮膜下の含Ni蛇紋石, heazlewoodite, cobaltpentlanditeおよびdjurleiteによっているように見える。これらの炭酸塩中でのNi2+に対するCo2+の置換関係はこのような固溶体が容易に生成される旧坑内の条件下での地球化学的挙動の類似性を暗示している。