著者
川上 源太郎 大平 寛人 在田 一則 板谷 徹丸 川村 信人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.684-698, 2006 (Released:2007-03-07)
参考文献数
69
被引用文献数
6 8

既存の年代資料と,新たに得た日高帯の花こう岩体およびそれに由来する砕屑物の熱年代値から,日高山脈の上昇-削剥過程を考察した.地殻浅部構成岩である日高帯の花こう岩と日高変成帯東縁の低度変成岩は始新世の冷却年代を示し,暁新世の変成作用ピーク後の広域的な温度降下を記録する.一方,高度変成岩が示す中新世の冷却年代は,衝突テクトニクスによるものである.前者に由来する花こう岩礫は中部中新統に含まれ,後者から供給されたトーナル岩や変成岩礫は上部中新統に出現する.このことは日高地殻の削剥が中新世を通じて深部へ進んだことを示す.一方,日高山脈南東域には前期漸新世頃の冷却年代が知られ,漸新世の地殻規模の水平すべり運動との関連を示唆する.一部の花こう岩礫が示す中新世のFT年代と堆積年代から,中期中新世初頭において最大100℃/Myrの冷却速度が概算される.これは日高変成岩類から見積もられる値20-30℃/Myrと比べかなり大きい.

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編集者: Gofukuji
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