著者
福田 栄紀
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.74-80, 2017-07-15 (Released:2017-08-08)
参考文献数
54

ネムノキがその樹冠下の土壌と植物の化学特性に及ぼす影響を調べるため,ネムノキ孤立木の樹冠内外の表層土壌とイネ科草種地上部の成分含量を比較した。樹冠内が樹冠外より有意に高い土壌成分や特性値は硝酸態窒素,MgO,リン酸吸収係数であり,全窒素,CaO,CECも樹冠内が高い傾向にあった。同様に樹冠内が有意に高い植物体中成分はCP,Mg,NEm,OCC+Oa,粗脂肪であった。逆に,樹冠外が有意に高い成分は繊維性成分であり,乾物率,リンも樹冠外が高い傾向にあった。土壌中含量が樹冠内において高い窒素やMg等の成分は植物体中含量も樹冠内の方が高かった。これらの結果は,ネムノキは共生根粒菌による窒素固定,深根による土壌深層からのミネラル等の吸収とリターによる地表への還元等を通して土壌の肥沃化に寄与すること,およびそのことが樹冠下に生育する植物の飼料成分特性の向上に寄与することを示唆する。

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畑の傍にネムノキっぽい幼樹が生えてきたので調べてる。 > 本研究で取り上げるネムノキ(Albizia julibrissin Du- razz.)は南方起源のマメ科先駆樹種で,本州,四国,九州 に広く自生する落葉高木である(上原 1959;林 1969)。 https://t.co/WBgQYLCIhb

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