著者
吉野 正敏
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.70-88, 1993-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1 3

まず最近100年間の日本における米の収量と気温・降水量・日照時間の変遷を記述した。米の収量変化には一般的に3期間が認められる。すなわち,第1の期間は19世紀末からほぼ1920年まで,第2期間はその後から1945~47年ころまで,第3の期間はその後のいわゆる第2次大戦後の時代である。 次に,気候条件の変動とそれが水稲生産に及ぼす影響について104年間の資料から上述の3期間別に統計的分析を行った。すなわち,主成分分析によって,分布や周期性,月平均気温・月降水量・月日照時間との関係を調べた。第1主成分は7月の上記の3要素全部と有意な関係を示し,8月にっいては気温と日照時間,9月にっいては降水量と日照時間と有意な関係を示すことが認められた。 この論文の第2部では上述の3期間の米の収量の年々変動にっいて調べた。一般的な変化傾間は,第1の期間はゆるやかな上昇傾向,第2の期間はほぼ横ばい状況,第3の期間は急激な上昇を示めす。しかし,いずれの期間でも,その前半は年々変動は小さく,後半になると大きい。これは気候変動の周期性が原因でなく,農業・生産機構の各期間の変化に起因すると考えられる。

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