著者
山口 修平
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.222-230, 2007-09-30 (Released:2008-10-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2

エピソード記憶の記銘と想起,意味記憶の想起,そして作業記憶における前頭葉の役割を神経機能画像研究の成果を中心に概説した。エピソード記憶の記銘の際には左の前頭前野が関与し,想起に際しては両側の前頭前野が関与している。記憶内容の言語化の程度も半球差に影響している。新奇な刺激の自動的な記銘には後方連合野の関与が強いが,前頭葉の情動(前頭眼窩面)や注意のネットワーク(前帯状回)も関与している。意味記憶そのものは側頭葉を主体とするネットワークに存在するが,その随意的な想起には左腹外側前頭前野の役割が重要である。作業記憶は前頭葉の実行機能の中で中心的な役割を果たしており,その際に主に活動する前頭葉内部位は中および下前頭回であり,頭頂葉とのネットワークが重要である。

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人間の意識を形作るエピソード記憶・意味記憶・作業記憶は前頭葉が担っており、現代のコンピュータとは仕組みが全然違う。脳の構造を模倣しないと無理そう。 https://t.co/AQerqQUliD ノイマン型コンピュータでは、やれてもエミュレートまでだし、現実的な電力では厳しい。生体コンピュータは別ですが https://t.co/8094LVYL7n

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