著者
安達 侑夏 笠井 明美 今村 徹
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.255-259, 2018-06-30 (Released:2019-07-01)
参考文献数
8

症例は 80 歳, 女性, 右利き。左前頭葉の脳内出血発症 60 日で当施設転入居。四肢に粗大な運動麻痺なし。自発話は乏しく, 話し掛けられると単語~短文レベルで発話がみられることがある程度。問いかけへの肯定 / 否定の意思表示は曖昧だが, 表情や行動, 態度から非言語的な状況理解は基本的に悪くないと思われた。施設内での生活場面で, 窓の鍵やドアが見えると開けようとするといった使用行動がみられた。さらに, 複数の職員がテーブルを囲んでミーティングをしていると, 近づいてきて職員の隣の椅子に座り, ミーティングの参加者のようにうなずきながら話を聞いたり, 机上の資料を手に取ったりする, など, 施設に勤務する職員であるかのように行動する場面が散発した。これは施設の環境が刺激となって出現した, Lhermitte の原著に忠実な環境依存症候群であると考えられた。

言及状況

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先日、「環境依存症候群」に関する論文を読んだが大変興味深かった。 なにかを見るとそれに関連した動作や、目の前の人物の動作の模倣を、時間や場所、相手に対する配慮なく行ってしまう症状。 職員と一緒に、まるで職員然としてミーティングに加わる患者の一例 https://t.co/3hf7OxkXvW

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