著者
幡地 祐哉
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.46-53, 2023-04-10 (Released:2023-04-21)
参考文献数
83

視覚的な局所運動は狭い受容野内における輝度などの時空間的な相関から検出されるが,検出される運動成分は2次元的な運動方向と速度を一意に定めることができないという問題が生じる。霊長類は局所運動成分を統合することによりこの問題を解決しているが,他の系統における運動統合過程を調べた研究は少なく,種比較による系統発生的,生態的考察もなされていない。本稿ではハト(Columba livia)の運動統合特性が霊長類と異なることを行動実験から示した著者らの研究を紹介する。他の脊椎動物種における運動統合を調べた研究についても概説し,運動統合の種差を生じさせる要因について考察する。運動統合の種差は獲物などの運動物体を追跡する機能と関連しており,初期視覚領域における傾き選択性の有無と網膜からの2つの視覚経路の発達度合いの差異から生じるという仮説を提案する。

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