著者
冨菜 雄介
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.132-143, 2015-09-01 (Released:2015-09-16)
参考文献数
36

発達した付属肢をもつ動物の多くは,採餌行動において目標指向的に制御される巧みなマニピュレーション行動を示す。筆者は目標指向的に制御されるマニピュレーション行動の神経機構の理解を目指し,海産大型甲殻類であるアメリカウミザリガニ(Homarus americanus,ロブスター)を実験動物として採用した。ロブスターでは左右の第一胸脚のうち片方がクラッシャーと呼ばれる大鋏に分化しており,採餌文脈においては貝の殻を割り砕く行動(グリッピング)において使用される。筆者はこのグリッピング行動に着目し,行動に対して餌を提示する報酬型オペラント条件付け実験系を適用することで行動頻度の制御が可能であることを示した。また,光弁別刺激を手がかりとしてそのタイミングを制御可能であることを明らかにした。さらに,慢性筋電図解析を行うことで目標指向的に開始されるグリッピング行動を運動出力レベルで特徴付けることに成功した。本稿で紹介する一連の研究は,微小脳動物における目標指向的なマニピュレーション行動を神経生理学的に解析するための基盤を開発した開拓的取り組みとして位置づけられる。
著者
濱田 俊
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.13-19, 2014-03-14 (Released:2014-03-28)
参考文献数
41

チアミン(ビタミンB1)はエネルギー代謝に不可欠の補酵素であり,その欠乏は神経系に特有の障害を引き起こす。ヒトでは2種類のチアミン欠乏症,脚気とWernicke-Korsakoff症候群(WKS)がみられるが,脚気では主に末梢神経系が障害される一方,WKSでは中枢神経系が障害される。なぜ単一のビタミンが異なる2種類の病態を引き起こすのかよくわかっていない。WKSの神経組織障害は,多くの神経変性疾患同様に脳の特定領域にみられ,その発症機構に興味が持たれてきた。WKSに類似した病態を示す疾患モデル動物の研究により,WKSの発症には興奮性神経毒性や酸化ストレスなどの要因が関与することが明らかになりつつあるが,領域特異的な障害がどのようにして起こるのかほとんどわかっていない。著者らはWKSモデルマウスの脳における細胞死の分布を検討したところ,嗅球で大量の細胞死が生じていることを見いだした。嗅球における細胞死の分布から,シナプス入力の違いがチアミン欠乏に対する感受性に影響を与えていることが示唆された。
著者
小島 哲
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.58-69, 2012-04-30 (Released:2012-05-25)
参考文献数
59

鳴禽と呼ばれる小鳥類は,言語を学習する人間と同様,「さえずり」という複雑な音声パターンを他個体からの模倣により発達させる。彼らは,あらかじめ耳で聞いて記憶した手本のさえずりの音声パターンに自分自身の音声を一致させるという高度な感覚運動学習を通して,手本とよく似たさえずりを獲得する。このさえずりの感覚運動学習には,Anterior Forebrain Pathway(AFP)と呼ばれる神経経路が中心的な役割を果たしており,近年その機能の解析にともない鳥がさえずりを上達させるメカニズムが急速に明らかになってきている。本稿では,筆者らの研究を含めたAFPに関する最近の研究を概説し,さえずり学習の神経機構および行動戦略に関する最新の動向を紹介する。またAFPは,大脳皮質‐大脳基底核ループと呼ばれる,哺乳類の脳にも存在する神経経路の一部がさえずり学習に特化したものであることから,同ループ経路の複雑な機能を理解する上での非常に良いモデルになると最近言われている。そこで,哺乳類の同ループ経路の機能に重要な示唆を与える鳴禽AFPの最近の研究を紹介し,今後鳴禽AFPの研究が大脳基底核の機能の解明において果たし得る役割と課題についても論ずる。
著者
西野 浩史
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.26-37, 2006-04-20 (Released:2007-10-05)
参考文献数
62
被引用文献数
1 or 0

広い動物界にあって聴覚を有し, これを同種間コミュニケーションに役立てている動物は前口動物の頂点に位置づけられる昆虫と, 後口動物の頂点に位置づけられる脊椎動物に限定される。系統的に大きく隔てられたこれらの動物が聴覚を発達させていることは, 収斂進化の典型例とみなされてきた。しかし近年の研究からは, 音を処理する感覚細胞は動物間共通の分子機構を持つことが明らかとなってきている。むしろ収斂進化のもっとも顕著な部分は音エネルギーを効率良く感覚ニューロンに伝えるための体構造の修飾にある。鼓膜がその良い例である。本稿では最近10年の聴覚研究の新発見を広くとりあげ, 昆虫の聴覚器官の進化について論じてみたい。
著者
木下 充代
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.212-219, 2006-11-20 (Released:2007-10-05)
参考文献数
48

我々ヒトは, 感覚情報の8割を視覚に頼っているといわれている。視覚の大切な機能のひとつに色覚がある。色覚は, 多くの動物に共有される感覚であると考えられている。ある動物の見ている色世界は, 行動実験によってのみ示すことができる。著者は, これまで鱗翅目昆虫であるナミアゲハの色覚能力について, 求蜜行動を指標にした学習弁別実験によって明らかにしてきた。アゲハは, 色覚だけでなく, 色の恒常性を持つ。単色光を学習したアゲハで測定した求蜜行動の感度は, 網膜にある色受容細胞の感度の高い波長域で高くなる。さらに, Y迷路を用いてアゲハが色を知覚できる最小サイズを測定すると, 学習した色に限らず約1度であった。複眼の空間分解能を規定する個眼間角度が約1度であることを考えると, アゲハの色覚では個眼ひとつが色知覚の最小ユニットになっているのかもしれない。
著者
佐倉 緑
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.195-204, 2015-12-15 (Released:2015-12-29)
参考文献数
59

多くの昆虫は天空の偏光パターンから方向を検出する。偏光のe-ベクトル方向の情報は,複眼の偏光受容に特化した領域[dorsal rim area(DRA)]で検出される。DRAで検出されたe-ベクトル情報は,その後,視葉の視髄(medulla)で3種類の情報に収斂されることから,人間の3色型色覚のように3種類の異なるニューロンの応答比率によって符号化される(即時型検出;instantaneous method)と考えられる。Medullaの3種類の情報から任意のe-ベクトル方向を符号化するニューラルネットワークを構築し,その動作を検証した結果,様々な自然条件の刺激に対して高い精度で体軸方向を検出できることが明らかとなった。また,コオロギ脳内神経細胞からの細胞内記録により,ネットワーク構築の際に想定したものと同じ応答特性を持つニューロン群が見つかった。これらのニューロンは特定のe-ベクトル方向に対して強い興奮性の応答を示し,脳内でコンパスの働きをすることが示唆される。さらに,ミツバチの吻伸展反射を利用して偏光刺激のe-ベクトル方向を弁別させる学習実験を行った結果,彼らが偏光刺激をスキャンすることなく90°異なるe-ベクトル方向を弁別することが明らかとなった。これらの一連の結果は,昆虫がinstantaneous methodに基づく偏光視システムを持つことを強く示唆している。
著者
織部 恵莉 吉原 千尋 高橋 純夫 竹内 栄
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.3-11, 2009 (Released:2009-07-09)
参考文献数
55

動物の体色には驚くほどの多様性がみられる。これは,体色が自然淘汰の様々な淘汰圧を受ける,生態学的に重要な形質であることを反映している。脊椎動物では,メラニンを用いた体色発現システムが,隠蔽,警告,性的提示などの生存戦略に関与し,体の色や色パターンに多様性を生じさせている。このような体色の多様性を創出する分子機構とはどのようなものであろうか。体色の進化や多様性の創出にも遺伝的な背景があり,原因となる遺伝子変化がある筈である。近交系マウスの毛色遺伝学の発展は,体色発現システムに関わる遺伝子の詳細な情報を提供するとともに,体色発現システムの分子レベルでの比較生物学を可能にした。本稿では,鳥類の羽色発現システムの分子機構に関する最新の知見を紹介する。羽色遺伝子座遺伝子の同定と性格付けによって,メラニンを用いた体色発現システムが鳥類と哺乳類との間で基本的に保存されていること,個々の羽や羽装にみられる複雑かつ多彩な色パターン形成に,局所性メラノコルチンシステムが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。メラノコルチンシステム構成遺伝子の発現制御の変化が,哺乳類との体色の違いを創出する原因の一つになっている可能性が考えられる。
著者
神尾 道也
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.11-17, 2012 (Released:2012-02-17)
参考文献数
44

殻を持たない軟体動物であるアメフラシの仲間は,体が軟らかくて傷つきやすい上に,動きが緩慢であることから,皮膚または皮膚からの分泌物に含まれた物質による化学防御により捕食者から身を守っていると考えられる。さらに,アメフラシは化学防御物質を多く含む紅藻類や藍藻類を好んで食べるので,これらの植物の持つ物質を自分の化学防御の原料として用いるのだろうと考えられてきた。しかしながら,この「皮膚に含まれる海藻由来の2次代謝物による防御」仮説を満足に支持するような実験結果は得られておらず,研究者間で意見が分かれている。また,アメフラシは攻撃を受けた時に紫色の液体を放出することから,この液体による煙幕で捕食者の視界を撹乱して逃げる,または,この液体に含まれる化合物で捕食者の味覚や嗅覚などの化学感覚に働きかけて攻撃をやめさせる,と考えられてきたが,この「紫色の液体放出による防御」説に関してもまた,はっきりと支持するような実験結果が得られてこなかった。それが,近年になって紫色の液体を構成する紫色のインクと白色のオパリンという二つの分泌物に含まれる化学防御物質群の解析が進み,その役割と仕組みが徐々に明らかにされてきた。これらの化合物は捕食者の化学感覚に働きかけて防御物質として働くだけでなく,同種個体に対しては警報物質として働く。本稿では最近明らかにされてきたアメフラシの多重の化学防御機構,皮膚に含まれる2次代謝物とインクとオパリンの成分として放出される化合物群の正体とその役割について概説する。
著者
朝野 維起
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.106-114, 2013-09-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
54

黒〜茶系色素であるメラニンは,地球上の生物に極めてありふれた存在である。髪の毛や鱗・皮膚など,我々脊椎動物の体色形成に関わるほか,植物や原生動物でも黒色色素の合成が観察される。また,本総説で説明する昆虫について見てみると,アリやクロアゲハ・カブトムシなどの色からも明らかなように,メラニンの合成は特に珍しいものではない。しかし,種々の生物がつくるメラニンは,一見すると同じ物体であるかの様に見えつつも,個々の生物に特有の合成経路・合成酵素が存在する。つまり,進化の過程に於いてそれぞれの生き物が独自にメラニン合成能を発達・進化させてきたと考えられる。この総説では昆虫のメラニン合成系について論ずるが,特に我々が直接目にする「昆虫の体そのもの」である外骨格内の酵素群について説明する。ドーパやドーパミンなどのフェノール性基質の酸化反応を触媒する含銅酵素を中心に,それらの基質合成系などにも触れる。また,ヒトなどとの違いについて説明するとともに,その進化学的な意義について議論したい。
著者
河村 正二
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.110-116, 2009 (Released:2009-11-06)
参考文献数
31
被引用文献数
1 or 0

近年様々な動物において色覚を担う光センサー(錐体オプシン)の解明が進み,動物によりその数や種類や発現パターンが異なることがわかってきた。明度が絶え間なく変動する浅瀬の水環境と森林環境は色覚進化の揺籃地であり,脊椎動物では特に魚類と霊長類が顕著な色覚多様性を示すことと符合する。例えば,魚類のゼブラフィッシュは8種類もの錐体視物質をもち,網膜の領域により発現する錐体オプシンの構成を違えることで,視線の方向によって色覚を違えていると考えられる。これを実現するためのオプシン遺伝子の制御メカニズムもわかってきた。また,中南米に生息する新世界ザルには1つの種内に6種類の異なる色覚型が存在するものが知られており,生息環境と色覚との密接な関連もわかってきている。本稿では魚類と霊長類の錐体オプシンの多様性とその生態学的意味についての最近の知見を紹介する。
著者
菅原 道夫
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.68-75, 2013-05-10 (Released:2013-07-10)
参考文献数
25

ニホンミツバチが,捕食者であるスズメバチを蜂球に閉じ込め殺す仕組みを明らかにした。スズメバチが蜂球に捕捉されると,蜂球内では温度だけでなく湿度も急速に上昇する。5分後には温度は46℃に,湿度は90%以上になる。この時,蜂球内の炭酸ガス濃度は4%に達する。多くのスズメバチは,蜂球内では10分で死ぬ。スズメバチの死をもたらす要因を,蜂球内の湿度とCO2濃度を変え致死温度を測定することで考察した。実験に使用した4種のスズメバチのいずれにおいても,CO2濃度3.7%(ヒトの呼気環境)では,2℃以上も致死温度が低下した。相対湿度が90%以上になると,さらに致死温度が低下した。ヒトの呼気環境中では,大気中に比べCO2は増加し酸素は減少するが,酸素を補っても致死温度は変わらなかった。ニホンミツバチは,蜂球中のスズメバチを酸素欠乏によって窒息死させるのでなく,高温,高湿,高濃度のCO2,の環境中でスズメバチの致死温度を下げることで殺していると考えられた。
著者
定本 久世 高橋 宏暢
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.131-134, 2012-09-20 (Released:2012-10-17)
参考文献数
11

本技術ノートでは,次世代シーケンサーを用いた非モデル動物の全トランスクリプトーム解析について説明する。これまで,非モデル動物のように参照となるゲノムDNA情報がない場合,次世代シーケンサーの配列データを貼り合わせて長い配列情報を得ることが難しかった。また,代表機種であるIllumina社シーケンサーでは,他社機種に比べて安価で大量の配列データが得られるものの,シーケンスデータの配列長が短い。これら技術,費用の両問題により,次世代シーケンサーによる非モデル動物のトランスクリプトーム解析はなかなか進んでこなかった。最近になり,トランスクリプトームデータ解析に特化した,参照配列を必要としない配列貼り合わせ(de novo assembly)プログラムが複数発表されている。我々は,Illumina社シーケンサーとこれらのプログラムを用いて非モデル動物組織のde novoシーケンス,トランスクリプトーム解析を行い,良好な結果を得た。これらの結果を含めて一連のde novoトランスクリプトーム解析手法を紹介したい。
著者
松尾 亮太
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.253-258, 2011 (Released:2011-11-08)
参考文献数
47

哺乳類の脳は,ひとたび損傷を受けると再生することが非常に難しく,また脳の構成要素であるニューロンは,最終分化を果たしていて細胞周期は停止した状態である。一方、軟体動物腹足類であるナメクジの中枢神経組織は、損傷や欠損を受けても自発的に構造レベル、機能レベルでの回復を遂げることができる。例えば触角は,切断を受けてもそこに含まれる神経組織を含めてほぼ完全に再生することができる。同時に,大小二対存在する触角は,互いに機能レベルでの冗長性も有している。また,脳の左右に一対存在し,高次嗅覚機能を担っている前脳葉と呼ばれる部位は,損傷や欠損を被った際,自発的に組織レベル,機能レベルでの回復を遂げることができる。そして前脳葉自体も,常に左右いずれか片方ずつが機能するという,ある種の機能的冗長性を有している。さらに,ナメクジのニューロンは,物質合成能を高める必要がある場合には自身のゲノムDNA量を増やすことさえできる。本稿では,こういった,我々哺乳類には到底不可能な,さまざまな離れ業を示すナメクジの神経組織について紹介する。
著者
岩田 勝哉
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.184-192, 1998-09-30 (Released:2011-03-14)
参考文献数
57
著者
八木 光晴 及川 信
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.68-72, 2008 (Released:2008-05-22)
参考文献数
38
被引用文献数
4 or 0

Body size is one of the most important axes to understand a large biodiversity. An amazing diversity in body mass of lives ranges over about 21 orders of magnitude, from a tiny bacteria such as Mycoplasma weighing 10-13g to a giant Sequoia tree weighing 109g. As a consequence of this variation, nearly all the structures and functions of organisms are constrained with body size, from the molecular, cellular and whole-organism levels to the ecological and evolutionary dynamics. These relationships are well described by the allometric equation. In this note, we introduce backgrounds to focus on some important correlates and consequences of body size, in particular on energy metabolism at the level of individual organism. Metabolism of an individual organism reflects the energy and material transformations that are used for both the maintenance of existing structure and the production of new biomass. Although body size is a primary determinant for metabolic rates, metabolism-body size relationships, in particular within species, i.e., the ontogenetic changes of metabolism with growth have not been well established in many species. The metabolic scaling in biology still keeps an intriguing and enduring problems.
著者
下澤 楯夫
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.98-107, 2016-09-29 (Released:2016-10-17)
参考文献数
28

生物の生きる仕組みの動作原理をヒトの技術へ転化するバイオミメティクスを紹介する。生物の機能の全ては,特定の構造に裏付けられている。生きる仕組みの理解を目指す生理学では,「構造の無い機能は幽霊,機能の無い構造は死体」である。生物は全ての機能的(適応的)構造を,極ありふれた元素のみから作る。コガネムシが金の原子を1個も使わずに常温常圧で金色の鞘翅を作り上げる能力は,技術と呼ぶにふさわしい。ガルバーニが,金属との接触でカエルの筋肉が攣縮する仕組みを追い求めたことが,電池の発明を惹き起こして世界を一変させた。パソコンでクリックした際に動作するシュミットトリガー回路は,イカの巨大神経軸索のパルス発生機構に由来し,現実の世界経済を支えている。サカナの眼のレンズは単に球形なのではなく,中心部の屈折率が高い屈折率分布レンズで,球面収差が補正されている。生理学ではマーティセン比として知られるこの結像原理の二次元版が光ファイバであり,現在の光通信を支えている。物理学が人間の英知で解き明かし制定したかのように言い触らしている法則の多くは,生物が既に十分に使いこなして物作り技術にまで高めていた自然の性質の1億年遅れの再発見に過ぎない。
著者
下澤 楯夫
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.153-164, 2006-08-20 (Released:2007-10-05)
参考文献数
19

Part 6. Entropy cost of information in living neuron is estimated to be very close to the thermodynamic limit at 0.7kB per bit of information. Parallel transmission and principle of summation average with stochastic sampling is explained as the essential way of adaptation under the inevitable thermal noise. Theoretical arguments on Maxwell's demon and the negative entropy principle of information or the irreversibility of measurement are explained. Origin of life and the evolution of life are discussed from the information theoretic standpoint, in reference to the actual values of rate of information and the energy threshold of living cell.