著者
加藤 拓彦 小山内 隆生 和田 一丸
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2-4, pp.71-78, 2006 (Released:2021-09-21)
参考文献数
19

作業療法を行っている統合失調症患者 84例を対象とし,対象者の退院に関する意識と社会生活背景としての結婚および就労状況を明らかにすることを目的に面接調査を行った.その結果,退院を希望しない者は 29%であり,退院希望者に比べ入院生活に満足している者が有意に多く,年齢は有意に高く,入院期間および罹病期間は有意に長かった.退院への不安については,家族,経済や就労に対する不安が多かった.結婚状況では,対象者の 26%に結婚経験があったが,そのうち離婚率は 82%と高率であり,結婚継続の困難さが示された.就労については,就労希望者群では就労希望のない群に比し,退院希望者の占める割合が有意に高かった.これらの入院統合失調症患者に対し有効かつ積極的な作業療法を展開していくためには,以上に示した個々の対象者の社会精神医学的側面についての理解を深めることが重要である.

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