著者
阿部 敬信
出版者
九州産業大学 人間科学会
雑誌
人間科学 (ISSN:24344753)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-43, 2021 (Released:2021-03-26)
参考文献数
55

本稿では,まず,最初に我が国における聴覚障害教育の成果と課題について,言語指導を中心とする教育方法について整理した。次に聴覚障害教育の教育方法の中で,手話と音声言語の書き言葉によるバイリンガル教育における課題を取り上げた。聴覚障害教育におけるバイリンガル教育において,手話から音声言語の読み書きという,2言語間の転移があるのだろうか。その前提として,そもそもバイリンガル教育という教育方法で教育を受けている,日本手話を母語とする児童らはどのように日本語を読んでいるのだろうか。このことを明らかにするために,適応型言語能力検査(ATLAN)を,日本手話・日本語バイリンガル児童14名に実施した。その結果,公立ろう学校で主に聴覚口話法で学ぶ小学部高学年の児童とほぼ同等の言語能力に発達していた。そして,個別の結果を精査することで,彼らの読解を支えているのは第一言語である日本手話で培ったメタ言語力や背景知識の豊富さに裏付けされた状況モデルではないかと推察した。

言及状況

外部データベース (DOI)

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公立ろうで聴覚口話法で学ぶ小高児童とほぼ同等の言語能力であることが詳述されており,その読解力は日本手話で培ったメタ言語力や背景知識の豊富さに裏付けされた状況モデルではないかとも. J-STAGE日本手話,日本語バイリンガル児童はどのようにして日本語を読んでいるのか https://t.co/GJff1NYUJN

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