著者
奥原 剛 木内 貴弘
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.91-106, 2020-06-16 (Released:2020-08-26)
参考文献数
54

本稿では進化生物学的視点を採用したヘルスコミュニケーション研究・実践の可能性を考察する。進化生物学の視点で見ると,人の行動には至近要因と究極要因がある。これまでの行動変容理論・モデルを用いたヘルスコミュニケーションは至近要因に着目してきたが,至近要因は人の行動の要因の一部に過ぎない。人の意思決定や行動を考えるには究極要因にも目を向ける必要がある。人の心や行動は,生存と繁殖上の問題を解決するよう自然淘汰を経てデザインされてきた。したがって,人は生存と繁殖及びそれに関連する社会的協力・競争の欲求を持つ。これらが人の究極要因レベルの欲求である。人の究極要因レベルの欲求が,意思決定や行動に影響を与えることが,心のモジュール理論や認知機能の二重過程理論の関連研究で示されている。これらの先行研究をふまえ,ヘルスコミュニケーションで対象者のより良い意思決定を支援するために「何を」「どう」伝えたらよいかを提案し,がん対策への示唆を示す。

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外部データベース (DOI)

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【ヘルスコミュニケーション学の新たな展開_進化生物学的視点によるがん対策への示唆_医療と社会_2020 年 30 巻 1 号 p. 91-106】 https://t.co/VjgXv9uf4W
人の行動には、至近要因と究極要因があることを主張している論文。国家試験は、自己効力感よりも動機付け、動機付けよりも危機感(=落ちたら落ち続ける)を強く認識してもらった方が、力が出ると思うんだけど。 J-STAGE Articles - ヘルスコミュニケーション学の新たな展開 https://t.co/hKFuFD1cim

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