著者
坂本 治也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.5-17, 2021 (Released:2023-11-16)
参考文献数
41

既存研究では,新自由主義の進展が市民社会の活性化をもたらすことは通説的見解とされてきた。しかし,新自由主義を政策パッケージではなく人々の間で共有されるイデオロギーとして捉えた場合,本当に新自由主義の進展が市民社会の活性化に結びつくといえるのであろうか。この点を検討するために,本稿では自己責任意識と市民的参加の関係を定量的に分析する。本稿では,独自に開発した指標を用いて,2つの異なるタイプの自己責任意識を測定する。分析の結果,2つの自己責任意識は市民的参加に対してそれぞれ負の関係性をもつことが明らかとなった。自己責任意識が強ければ強いほど,人々は市民的参加を忌避する傾向が見られる。イデオロギーとしての新自由主義の進展は,市民社会の活性化につながるどころか,むしろ市民社会を衰退させる可能性が高い,という通説的見解とは真逆の結論が得られた。

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『選挙研究』に載せて頂いた拙稿「新自由主義は市民社会の活性化をもたらすのかー自己責任意識と市民的参加の実証分析」ですが、J-STAGEで無料公開されたようです。宜しければご笑覧ください。https://t.co/taGqu3kHC5

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