著者
佐藤 広英
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.17-28, 2012-09-30 (Released:2017-05-02)
被引用文献数
2

本研究の目的は,他者の匿名性を情報の種類の観点からとらえ,コミュニケーション行動に及ぼす効果を検討することであった.研究1では,匿名性を他者情報の種類の観点から分類するため,CMC場面を想像させる場面想定法を用いて検討を行った.その結果,他者情報は,私的情報,属性情報,識別情報に分類され,特に他者の属性情報が初対面の相手に対するコミュニケーション行動に影響を及ぼす可能性が考えられた.研究2では,匿名なCMCにおいて他者の属性情報を実験的に操作し,コミュニケーション行動に及ぼす効果を検討した.結果は次の3点に集約された.第一に,他者の属性情報は,効果は弱いものの,コミュニケーション中の不安感を低減させ,発言量を促進することが示された.第二に,他者の属性情報は,敬語表現の増加やパラ言語の減少など,対面場面に近いコミュニケーション行動を促進していた.第三に,自己開示および親密感に対する他者の属性情報の効果は見られなかった.最後に,他者の私的情報および識別情報による効果について考察を行った.

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

他者情報は、私的情報、属性情報、識別情報に分類でき、属性情報が初対面の相手とのコミュに影響。/ 自己開示や親密感に対する属性情報の効果は見られなかった

収集済み URL リスト