著者
須永 将史
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.194-209, 2020-09-30 (Released:2020-10-07)
参考文献数
27

本論文は,在宅マッサージの場面において,施術者と患者が「痛み」をどのように扱うのかを,会話分析の方法によって明らかにする.マッサージの活動手順の進行中に生じる患者の痛みを,施術者がどのように尋ねるのか,そのやりとりがマッサージの進行にどのように影響するのか.以上を問う.まずは,痛みについての質問を検討する.痛みについての質問のなかでも,とりわけ,患者の身体に触れながらなされる「施術進行のための質問」を検討する.そのとき,この質問が「否定疑問」で尋ねられるのか,「肯定疑問」で尋ねられるのか,に注目する.そして,同じ「施術進行のための質問」であっても,痛みが否定疑問で尋ねられる場合を最適化された質問デザインとして特徴づける(Boyd & Heritage, 2006).また,肯定疑問は患者による痛みの報告をしやすくするためのデザインとして特徴づける.続いて,このように質問を状況に依存しながらデザインするための資源として,患者の表情を検討する.施術者が,質問デザインする際におこなうプラクティスのひとつとして,患者の顔のモニタリングを挙げる.

言及状況

外部データベース (DOI)

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須永将史(2020)「質問のデザインにおける痛みの理解可能性──在宅マッサージの相互行為分析」『社会言語科学』23(1) https://t.co/lIJ7fg2IxY

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