著者
小池 宏明
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1-2, pp.19-29, 2022 (Released:2023-01-12)
参考文献数
12

Evidence-based medicineは,昨今,臨床医学の意思決定の重要な根拠となってきていますが,それは二重盲検プラセボ対照試験の統計学的解析に基づいています.そして,近年,その解析にはCox比例ハザードモデルが用いられ,それにより臨床試験の参加者のヘテロジェネイティーの相違が,より詳細に解析結果に反映されるようになってきました.それにも拘らず,通常,ある試験で有意差をもって治療効果が認められた場合には,その試験と同様な患者群に普くその治療が行われています. しかし,その有意差が,その群の中の一部のみにその効果がもたらされた事,すなわち,レスポンダーの存在に由来する可能性は常にあり,しかも,ヘテロジェネイティーは全て既知の危険因子などから構成されているため,レスポンダーの存在が未知の交絡因子に由来している場合,通常のサブグループ解析ではその存在が不明なまま残ることになります. この論文は,レスポンダーの存在の有無を,赤池情報量規準(AIC)を用いて推定する方法を提案したものです.ただし,ここでは,治療群及びプラセボ群をセットとした統計量にそれを用いるためにひと工夫を要しました.

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J-STAGE Articles - レスポンダーの存在に関する検証の一提案 https://t.co/zmFtf89nDi ヘテロジェネイティー、病理(腫瘍組織の細胞のばらつき)にもある概念だけど、EBMでも集団内の異質性について用語を用いると

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