著者
山田 苑幹
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.144-160, 2019 (Released:2021-04-12)

本研究は,性別違和を抱く人々が自身の性自認をどのように生きているのかについて質的に検討し,ジェンダー・アイデンティティ研究に新たな知見をもたらすことを目的に,男女のいずれかというわけではない性自認をもつX ジェンダー当事者2 名(S さん,K さん)にインタビュー調査を行った。得られた語りは,ナラティヴ分析の一つであるテーマ分析の観点から,語りの内容に注目して(1)性別違和の体験,(2)X ジェンダー概念に対する考え,について整理した。本研究の結果から,X ジェンダー当事者が,自身の性自認とどのように向き合いながらジェンダー・アイデンティティを形成し,X ジェンダー概念をどのように捉えて使用しているのかが浮かび上がった。考察では,S さんとK さんの語りの特徴を先行研究に照らし合わせて整理することで,性別違和を生きる上で重要と思われる点や,X ジェンダー概念がもつ特徴を検討し,X ジェンダーという概念の可能性と限界を浮かび上がらせた。

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「X ジェンダーを生きる」 ( https://t.co/AvOQrZxXgk ) にある性的違和の実例を見てなんとなくわかったこととしては、自分という存在そのものだけを見て絶対的に性別に違和感があるわけじゃなくて、社会の中で、自身の生物学的性に求められる振る舞いや服装などに違和感があるってことな気がする。 https://t.co/FKXX6dG9uC

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