著者
横山 愛
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.20, no.Special, pp.S43-S50, 2021 (Released:2021-12-29)

本研究は,一斉授業で,指名されていない児童の発話に教師がどのような対応をしているのか,また,教師の対 応によって授業展開にどのような影響が及ぶのかを検討する。小学校2 年生の算数授業の記録を対象に,指名さ れていない児童の発話への教師の対応に関するカテゴリー分析,授業計画と実際の授業展開の比較を通した事例 の分類と考察を行った。その結果,以下の3 点が明らかになった。第一に,教師は指名されていない児童の発話 を授業に活かし,児童の学習に繋げようとしていた。第二に,指名されていない児童の発話への教師の対応がきっ かけとなり,授業計画に変更が生じていた。第三に,指名されていない児童の発話に対して,教師が学習を深め る意図を持つ対応をすることで,授業計画が変更され,児童に合わせた話し合いがなされていた。具体的には, 指名されていない児童の発話を授業計画に関連づけて扱う場合には,〈追究〉し,指導内容に近づけていた。また, 指名されていない児童の発話を授業の問いとして扱う場合には,〈繰り返し〉によって,疑問を共有し,話し合い に繋げていた。以上の事例分析から,教師が指名されていない児童の発話に受容的に対応し,柔軟に計画を変更 して児童の疑問について話し合う授業過程が示された。指名されていない児童の発話への対応をきっかけに計画 とは異なる展開となった場合にも,学習の深まりに繋げられる可能性が示唆された。

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