- 著者
-
菅 香世子
- 出版者
- Japan Association for Quaternary Research
- 雑誌
- 第四紀研究 (ISSN:04182642)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.59-75, 1998-05-31 (Released:2009-08-21)
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
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伊豆・小笠原弧北部の火山フロントに位置する八丈島火山群は,活動年代が異なる複数の小型成層火山の複合体である.入丈島火山群を構成する各火山の原形と生成順序は,それらの地質と火山地形から推定することができる.八丈島火山群の火山は,安山岩を主体とする火山と,玄武岩を主体とする火山とに分けられ,後者でも活動の後期には安山岩あるいはデイサイトマグマが活動することがある.このため,八丈島火山群では安山岩の産出頻度が高い.また,最近の10数万年間だけでも7~8個の小型成層火山が生成されてきた八丈島火山群は,マグマの上昇径路となる開口割れ目が比較的生じやすい条件下にあるといえる.八丈島火山群は,伊豆・小笠原弧北端部と本州弧との衝突に起因するNW-SE方向の圧縮の影響を多少は受けているものの,基本的には伊豆・小笠原弧で卓越する伸張のテクトニクストの下に置かれていると考えられる.