著者
中森 広道
出版者
日本災害情報学会
雑誌
災害情報 (ISSN:13483609)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.76-86, 2007 (Released:2021-04-01)
参考文献数
14

我が国の震度情報は、近年、めまぐるしい展開を見せている。しかし、その一方で、震度情報に関する問題やトラブルが大きく取り上げられることも多くなった。「新潟県中越地震」や「千葉県北西部の地震」などの昨今の地震では、「震度情報の遅れ」などの問題に対する批判的な評価がみられるようになっている。震度情報に関わる問題は最近始まったことではないが、1995年の「阪神・淡路大震災」で震度情報の遅れが初動体制を遅らせたという点が指摘されて以来、大きく注目されるようになったようだ。これは、震度観測が体感から計測震度計に移行し、無人の観測点や気象庁以外が管理する観測点が増えたことによりトラブルが顕著になったこと、震度が「記録性」よりも「速報性」を重視するようになっていることなどが挙げられる。ただし、器械による計測である以上、地震により何らかのトラブルが生じることは仕方がない面もある。そのために、「阪神・淡路大震災」の教訓から「震度5弱以上未入電情報」が発表されるようになっているが、この点は必ずしも有効に活かされていない。本来は状況を把握するための「参考情報」の役割を果す震度が、正確な状況を把握するための「確定情報」のような役割を求められるようになっている現状を再考する必要があるのではないだろうか。

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未入電表示の件、2007年の論文で提起されていた https://t.co/tVNQsi3lpv https://t.co/tKd5wt5IfJ

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