著者
橋爪 克己
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1, pp.2-7, 2015 (Released:2018-04-12)
参考文献数
21

清酒には多数の苦味物質が含まれるが,大部分は閾値以下の濃度であり,単独で苦味を感じさせるものは少ない。著者らは以前,清酒のHPLC画分から呈味を手掛かりに苦味ペプチドを同定した。さらに最近,同様の方法で,フェルラ酸およびそのエチルエステルが強い苦味を呈することを見出した。フェルラ酸を含むフェノール酸は植物細胞壁の構成成分であり,清酒製造工程において麹の酵素によって遊離すると考えられている。本記事では,苦味物質としてのフェルラ酸等の同定,フェノール酸の原料米中の分布とその遊離に関わる麹菌酵素について,最新の研究成果をもとに解説いただいた。これらの苦味物質は特に活性炭未処理清酒で濃度が高く,近年増加している「無濾過」清酒の品質を考えるうえで,大変興味深い研究である。

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ふくらみのあるきれいな味わいになる酒米って山田錦があれば良いだろう。これからはもっと味わいに違いの出る酒米が欲しい。フェルラ酸が多くて使いようによっては苦渋味や4VGが出やすい一方で抗酸化性も高い米の方が、エージングポテンシャルは高いかもしれない。https://t.co/6cYR2iV3GK
清酒と原料米のフェノール酸関連化合物 https://t.co/MKN0pCpZge

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