- 著者
-
黒田 美保
- 出版者
- 大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
- 雑誌
- 子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.28-34, 2020 (Released:2020-09-24)
- 参考文献数
- 9
自閉スペクトラム症児への早期介入の効果が近年報告されているが,専門家による介入を受けられる子どもの数には限りがあり,コミュニティ全体を包括的に支援することは難しい.この点,早期介入法の1つであるJASPER(Joint Attention, Symbolic Play, Engagement, and Regulation)は,特にコミュニティベースで,また,非専門家である教師等が行える方法として,注目に値する.JASPERは,乳幼児から小学校低学年までの比較的広い対象に連続的に使用できる.プリスクール等の実際に対人コミュニケーションを必要とする生活の場で教師等が実施することにより,心理士がセラピールームで行うのと同じくらいの言語や社会性の発達がみられたと報告されている.教師が実施できる検査SPACE(Short Play And Communication Evaluation)も開発され,子どもの遊びの水準,共同注意,要求行動を簡便に評価すると同時に目標を立てられる.本論では,自閉スペクトラム症の早期支援の概観と,JASPERやSPACEの方略やコミュニティにおける実践について述べる.