著者
星田 徹 榊 寿右
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.419-429, 2003-06-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
25

難治てんかん手術に必要な術前および術中検査について述べる.病態を知るための最初の情報は病歴聴取である.内側側頭葉てんかんは,乳幼児期に複雑型熱性けいれんを有することが多い.もっとも重要な検査は,脳波や脳磁図をはじめとする神経生理学的検査である.非侵襲的検査では,脳波ビデオモニタリングが基本となる.発作時脳波と症状を記録し,夜間の間欠陥異常波も捉えやすい.焦点を示す発作症状(笑い発作,激しい身振り自動症など)や側方性症状(同側性自動症と対側ジストニア肢位など)が重要である.てんかん発作波から双極子追跡法でてんかん焦点を措定する.次に画像検査を実施する. CT. MRI, MRスペクトロスコピー,PET.間欠時と発作時のSPECT,近赤外線脳血流測定法などの検査を行う.MRを用いた扁桃体海馬体積測定は,内側と外側側頭菓てんかんや全般てんかんとの鑑別が可能となる,MRで器質性異常を認めない場合や術前検査結果に不一致があれば,頭蓋内電極記録を行い正確なてんかん焦点を同定する.個々の患者で皮質電気刺激を用いて,焦点周辺の脳機能を知ることにより,術後の合併症を最小限にすることができる.術前に焦点を正確に同定し,周辺の脳機能を評価のうえ,焦点すべてを確実に切除すれば,術後に発作を十分抑制することができる.

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