著者
貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.194-201, 1977-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1) 味覚テストでは, 強火加熱による飯が, 弱火加熱による飯より好まれた.また, 弱火加熱による飯の食味は加熱時間の延長により改善され得る.2) 強火加熱の場合が, 弱火加熱より沸騰直後の数分間はわずかに高い温度を示し, このことが炊き上がった飯の食味および性状に与える影響を無視することはできない.3) 強火加熱の方が, 弱火加熱の場合より飯粒中に含まれるいわゆる遊離水が少なく, 赤外線水分計による脱水速度は小さくなり, デンプンの糊化に関与する水分が多いことを示した.一方, 物理的測定では強火加熱による飯はかたいと判定されたが, 嗜好的には好ましいかたさであり, 飯の物理的性状が味覚に及ぼす影響は大きい.4) グルコアミラーゼにより消化されて溶出する糖は, わずかに強火加熱試料に多く測定された.火力の強弱が米デンプンの糊化の程度に多少関係していると思われる.5) 炊き上がった飯の表面は, 強火加熱試料に蒸気が通りぬけた穴が多くみられ, 沸騰状態のはげしさを物語る様相を呈している.

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沸騰継続中の火力の強弱が炊飯に及ぼす影響について - J-Stage https://t.co/StbRUhYkzk

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